
見てもよくわからないからと洗濯表示を気にせずに洗濯しているなら、少しの知識を得るだけで洗濯による消耗を最小限に抑えられるかもしれない。
本稿は現行規格であるJIS L 0001:2024 (ISO 3758:2023整合) に基づき、記号の意味を一次情報にもとづいて解説する。なお、2024年8月20日の改正により国際整合となった。
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まずは洗濯表示の基本をおさらい洗濯表示の5系列「洗い」「漂白」「乾燥」「アイロン」「クリーニング」を押さえる
まず押さえておきたいのが、洗濯表示のカテゴリーだ。「洗い」「漂白」「乾燥」「アイロン」「クリーニング」の5つに分けられており、それぞれの図柄がつけられている。それぞれの詳細は、下の画像ギャラリー内のキャプションにて解説。
“×(バツ)の位置”と“線の本数”に注目消費者庁が配布している一目でわかる早見表をチェック!
消費者庁のHPでは、衣類の取扱表示の早見表PDFが配布されている。一覧で見ると洗いや乾燥といったそれぞれのアイコンに数字・点・線・×記号が条件に合わせて付けられているのがわかる。
消費者庁「新しい洗濯表示」特設ページ/「衣類の取扱表示(令和6年8月改正)」早見表PDF を参照
これさえ覚えればOK!?洗濯表示を即・攻略する3つのコツ
ここまでどのような洗濯表示があるのかについて紹介したが、ぶっちゃけ洗濯表示を全て覚えるのは面倒だ。とはいえ、大事な洋服の寿命を間違った洗濯のせいで縮めてしまう事態は避けたい。そんな方に向けて、筆者がプロの意見を聞き、いま実践している洗濯表示と上手に付き合うコツを3つ紹介していく。
コツ1:線・点・記号の追加は“弱めよ”のサインアイコンが複雑になるほど制約が厳しい
洗濯表示のアイコン別の説明をよく見比べてみると、取り扱いに気をつけるべき表記のものほど、線・点・記号などが多いことに気づく。これをおさえておくだけで、ある程度は洗濯時の注意点が把握できるようになる。
コツ2:洗濯表示の数字が示すのは温度のみ数字=液温の上限温度と覚えればOK
「洗い」の桶マーク内の数字が小さい=洗濯時の水温の上限温度が低いという意味。洗濯表示の数字を超える液温で洗わなければ問題ないと捉えてOKだ。
コツ3:×の付く場所で意味が変わる×は“禁止”と覚える
×がついているアイコンは、すべてケアに関する何かを禁止していると捉えてOKだ。ちなみに、レーヨン、キュプラ、皮革製品といった服は、洗濯ネームに表記されているアイコンすべてに×が付いている場合も。
洗濯表示に慣れる練習に!問題:実際の製品に採用されている洗濯ネームを読み取ってみよう
下の画像ギャラリーでは、実際にアパレル製品で採用されている洗濯ネームをピックアップした。ギャラリー内の詳細情報で答えを書いているため、上記のコツを駆使してどれだけ読み取れるか試してみてほしい。家庭洗濯で重要な「洗濯」と「乾燥」に関しては、ある程度の内容は理解できるようになっているはずだ。
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洗い:液温は30 ℃を限度とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる。
漂白:酵素系OK、塩素系NG
乾燥1:タンブル乾燥禁止
乾燥2:日陰でつり干し
アイロン:底面温度160 ℃までを限度としてアイロン仕上げ可
クリーニング1:弱い処理で全ての溶剤ドライクリーニングができる
クリーニング2:弱い処理でウェットクリーニングができる
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洗い:液温は40 ℃を限度とし、手洗いができる。漂白:漂白禁止乾燥1:タンブル乾燥禁止乾燥2:日陰でつり干しアイロン:底面温度160 ℃までを限度としてアイロン仕上げ可クリーニング1:弱い処理で石油系溶剤ドライクリーニングができるクリーニング2:弱い処理でウェットクリーニングができる
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洗い:家庭洗濯禁止漂白:漂白禁止乾燥1:タンブル乾燥禁止乾燥2:日陰でつり干しアイロン:底面温度120 ℃を限度としてスチームなしでアイロン仕上げ可クリーニング1:石油系溶剤ドライクリーニングクリーニング2:ウェットクリーニング禁止
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洗い:液温は40 ℃を限度とし、手洗いができる。
漂白:酵素系OK、塩素系NG
乾燥1:タンブル乾燥禁止
乾燥2:日陰でつり干し
アイロン:底面温度120 ℃までを限度としてアイロン仕上げ可
クリーニング1:石油系溶剤ドライクリーニング可
クリーニング2:ウェットクリーニング可
次のページからは、洗濯スキルの向上に役立つであろう豆知識や、デリケート素材を洗濯する際の注意点などのノウハウを紹介していく。
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