
ワークジャケットは武骨さ漂うタフなルックスが魅力の定番アウターだ。今回は、そんなワークジャケット代表的な型とその歴史、着こなし事例、おすすめモデルを紹介する。
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ワークジャケットとは?労働者の作業着としてデザインされた機能性、耐久性、実用性に優れているアウターの総称
ワークジャケットとは、労働者の作業着としてデザインされたアウターの総称。機能性、耐久性、実用性に優れている。発祥の地域や用途によって差があるため、厳密な統一定義はない。しかし、フロントに配置された複数のポケット、動きやすさを考慮したシルエット、頑丈な縫製などが多くに共通する特徴だ。素材には、摩耗に強く通気性のあるコットンツイルやデニム、キャンバス、モールスキンなどが多用されている。
現代のファッションシーンにおいては、ワークジャケットとして挙げられる王道の型は主に2つ。19世紀のフランスで誕生したチョアジャケットに代表されるカバーオール型と、20世紀のアメリカで誕生したカーハート「デトロイトジャケット」に代表される短丈ブルゾン型だ。ジャンル問わず、様々なファッションブランドが、いずれかの型を着想源としている。ここからはその2型を軸に、ワークジャケットの歴史を紐解き、それぞれの特徴を紹介!
カバーオール型ワークジャケットの歴史と特徴19世紀のフランスで誕生したチョアジャケットに代表される、上品な佇まいと実用性を兼ね備えたアウター
チョアジャケットが代表的な型であるカバーオールタイプのワークジャケット。こちらは、19世紀のフランスで、工場・鉄道・農場の現場服として定着したとされている。ポケットは胸に1つ、あるいは2つ、そして腰に2つ配置されており、襟の仕様はレギュラーカラー、前開きはボタン仕様といったデザインが一般的だ。生地は主にモールスキン、コットンツイル、デニム、ヘリンボーンなどが採用されている。また、チョアジャケットという呼称は米国発。20世紀半ば、カーハートやディッキーズが台頭した際、フランスのカバーオール型をチョアジャケットと呼び始めたのが起源とされている。フランスでは現在もワークジャケットと呼ばれることも多い。
カバーオールの実用的な設計と上品な佇まいは、現代においてカジュアルな装いにも自然に馴染む。ニューヨーク・タイムズで長年写真を掲載し、ストリートスナップの元祖とされる巨匠ビル・カニンガム氏が、生前、撮影時に愛用していたことでも有名だ。
写真:Splash/アフロ EXCLUSIVE: The Late Bill Cunningham Photographer riding his bike with his Camera around his neck in Tribeca, NYC, September 2014 Pictured: Bill Cunningham
短丈ブルゾン型ワークジャケットの歴史と特徴20世紀に米国で誕生したデトロイトジャケットに代表される、ラフな佇まいの短丈アウター
短丈ブルゾン型のワークジャケットは、20世紀のアメリカで発祥したとされている。シルエットは短丈でボクシー、襟はコーデュロイのポイントカラー、前開きはファスナー仕様が一般的。左胸にジッパーポケット、腰に2つのポケットを備えているデザインが多い。表地はダックキャンバスが一般的には採用されており、着用に応じてアタリや色落ちが生まれるのが特徴だ。また、デトロイトなど寒い地方に向けて製造されたジャケットには、裏地にキルトやブランケットのような保温性のある素材が使用されていることもある。
そんな本型の中でもカーハート「デトロイトジャケット」は象徴的なモデル。1950年代に誕生し、自動車工場や建設現場で瞬く間に広まった。90年代にはヒップホップやスケートカルチャーと結びついてストリートに浸透。現代では、ストリートからデザイナーズブランドまで様々な相手とのコラボなどを通し、ファッション業界でもその地位を確立している。
写真:Shutterstock/アフロ Lauryn Hill, Oct 25, 1999 : LAURYN HILL ; ALTA VISTA ‘KNOWLEDGE REVOLUTION’ LAUNCH. LAURYN HILL PERFORMS AT THE ALTAVISTA WEB SEARCH PARTY LAUNCH. (Photo by Rex Features/AFLO)[2337]