
来たる秋シーズンに向けて新たに黒フーディを手にするなら、今年は「漆黒」に注目してみて欲しい。生地で染め、製品に仕上がった段階で更に黒染めの工程を経たW染めによる“漆黒”は、光の吸収と反射のコントラストが段違いで、視覚的な密度が高く、装いの格を一歩先へ押し上げる鍵になる。
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ソフトな度詰めの生地感と漆黒感にグッとくる!W染めでこなれ感を増幅させた漆黒フーディ「Gary Noir」
タフさと美しさを兼備するフーディは、意外なほど少ない。さらに万能なブラックで、光沢を帯びたナイロン系ボトムスから端正なスラックスまで難なく受け止める1着があれば、秋冬の装いは格段に洗練されるのは言うまでもない。表の糸に細番手を使用し、高密度に編み上げることで重厚感がありながらキメ細やかな表情を演出する黒スウェット生地を採用。さらにシルケット加工とブラックオーバーダイ(製品になった後に再度染色を施す加工)を施すことで艶っぽくてソフトな風合いを表現した「Gary Noir(ゲイリー ノアール)」は、まさに上記で挙げた条件を満たすフーディだ。
二重染色の理屈と効用W染めが生む“漆黒”とは何か
本稿で紹介するW染めとは、生地段階での浸染(しんぜん)、さらに製品完成後に追加の染色を施すことで、色素の定着密度を最大化する技法を指す。繊維一本一本に色が重層的に入り込み、光の吸収率が高まり、黒が“沈む”ように見える。この結果、陰影が深くなり、黒が持つ重厚感と品格が際立つ。さらに、退色やムラを抑え、長期間その濃度を維持できるのもメリットだ。仕上がりの質感は、糸番手・撚り・編み組織・最終のフィニッシュワークによって、マットにも艶寄りにもコントロール可能なため、作り手のセンスが問われるポイントとなっている。
通常染めの黒スウェットと並べてみると、W染め(右)の黒スウェットの方が光の反射面に生じる白みがおさえられており、陰影が深いのがわかる。
素材・シルエット・ディテールの三層最適化イケてるコーデ実現のために注目すべきポイントはここ!
ここからは、フーディ選びの参考にしたいポイントを紹介しつつ、漆黒フーディの魅力を紹介していく。
裏毛か裏起毛か、厚みの見極め1,通年での活躍を狙うなら「裏パイル」が有力候補
裏パイル(裏毛)は、スウェット生地の裏面がタオル地のようにループ状の編み組織を持ち、肌離れが良く通気性に優れている。秋口の立ち上がりから春先まで、室内外の温度差にも柔軟に対応できるため、通年で着回す黒フーディの素材としては筆頭候補だ。裏起毛に比べて保温力はやや劣るが、その分インナーやアウターで調整がしやすく、レイヤリングの幅が広がる。真冬はインナーにウール混や機能性ベースレイヤーを合わせれば、年間を通して戦力になることうけあいだ。
都会的に見せる線の引き方2,着こなしがモダンに決まる短丈BIGシルエット
大人が狙いたいのは、だらしなさを避けながらリラックス感を加えるシルエット。肩幅と身幅にたっぷりとゆとりを持たせたつつ着丈は短めに。加えて裾リブの絞りが気持ち強めの「Gary Noir」なら、Tシャツのレイヤード具合の調整が効き、自分が理想とするシルエットを実現しやすい。
洗練見えするディテールで差をつける3,カンガルーポケットと縫製仕様にもこだわりを
プルオーバーフーディの顔立ちを意外と左右するポイントとなるカンガルーポケットは、気持ち小ぶりの設計に仕上げることでモードな印象に。さらに表面の切り替え線を極力減らし、ステッチワークも最小限に留めることで漆黒の生地感が際立つミニマルで上質なムードを底上げ。漆黒を武器としてフル活用できる仕上がりを楽しんで欲しい。
顔まわりに立体感を生むフードの立ち上がり具合も重要だ。二重構造のフードで陰影を作り、首元でフードが少し重なるように身頃と縫い付けることで、インナーの露出が控えめなネックラインに。大人の洗練されたムードが際立つ設計に注目したい。